トップページに戻る

第10話 『死生の再会』

■セイと沙耶

 セイ、「俺はね…」というセリフと共に消える。
 気が付くと沙耶の家の中。

セイ「ここは…?」
沙耶「ダメよ」
セイ「!」
沙耶「ルール違反だわ、セイくん」

セイ「あなたはまた、6年前俺にしたのと同じ事を、あの子に、一夏ちゃんに、するつもりだな」
沙耶「フフッ…。 これまであの子は、九つのジンのチカラをその身に宿し、そして、その間に七つの試練を、
    七つの罪の洗礼を受けてしまった」
セイ「もうそんなとこまで…」
沙耶「もう、後戻りは出来ないのよ」
   「あとは、あの子が最後にどんな選択をするか、それを見せて貰うだけ」

 セイ、沙耶に掴みかかろうとするが、体が石化を始める。

セイ「か、体が…」
沙耶「動かない方がいいわ。 砕けたら、私でも元には戻せないのよ」
   「ペナルティよ。 あなたには暫く眠って貰うわ。 あの子の最後の選択を見せて貰ったら、目覚めさせてあげるわね」
   「(後ろを振り返って)手伝いなさい」

 カイ出現。


■元に戻った一夏の目


■一夏

 一夏、お守りを捨てるが、戻ってきてしまう。

一夏「捨てる事も、出来ないの…?」

 上空から見ている沙耶。

沙耶「そう、あなたはもう逃れる事は出来ない」


■一夏と舞夏

 一夏と舞夏、何とか助かる。

舞夏「ダメだよ…」
一夏「え…?」
舞夏「一夏は、死んじゃヤだよ…」
一夏「舞夏、ちゃん…」
舞夏「死ぬんなら、あたしの方だ。 涙の一つも流せない、あたしの方だ」
一夏「舞夏ちゃん」
舞夏「あたしは人間じゃない。 人間になりたくても、結局別のものでしかない。 あたしの、方が…」

 一夏、涙。

舞夏「自分を殺さないで。 自分自身を失わないで。 一夏…」

 一夏、舞夏に抱きつく。

一夏「ごめんなさい。 ごめんなさい、舞夏ちゃん。 ごめんなさい」


■一夏と舞夏

一夏「あと3つ。 それで全部終わり。 全部、終わらせます」
舞夏「ありがとう…。 一夏、強くなったね」
一夏「そんなことないです…。 でも、もしそうだとしたら…」
舞夏「したら?」
一夏「…ナイショです」

 丸の付けられたカレンダーの8/31が映る。

→ やはり一夏がジンのチカラを使う事は舞夏の望む事?


■一夏

 無理にでも食事を取る一夏。
 一夏、モノローグ。

何を食べても苦い、砂のようでした。
でも、私はもう逃げないと、目に見えない何かに抗うと、心に決めていたのです。


■一夏の両親が見た夢

 一夏が見た夢と同じ場所。

パパ「ここ、は…」
ママ「あなた…」

 上から三角形の光るもの(旧校舎にあった鏡の欠けてた部分?)が降りてくる。
 水上で回転、泡のようなものを出す。
 宙に浮く、白い舞夏?
 舞夏の声?

もし、子供が生まれたら…

パパ「この、声は…?」

その子が大きくなって、いつか夏に友達を連れてきた時、その子にも、
自分の子供と同じように優しくする事が、出来ますか?

ママ「あなた…」
パパ「子供が、子供が本当に授かるなら」

約束、出来ますか?

 パパ、うなずく。

ママ「約束します」

 泡と共に消える舞夏。
 赤ん坊の泣き声。


■一夏モノローグ

その時、私は知ってしまいました。
この夏の、様々な出来事は、私が生まれる前から約束され、誰かに計画されていた事なのだと。


■一夏と舞夏

一夏「(負け、ない…。 決めたんだから、逃げない、って。 舞夏ちゃんを信じるんだって)」
舞夏「一夏…?」
一夏「舞夏ちゃん。 舞夏ちゃんは私の味方ですよね?」
舞夏「! (あたし、もう一夏にはウソつきたくない…)」
一夏「(舞夏ちゃん、昨日海ではあんなに心配してくれてた…。 お願いです、舞夏ちゃんの事、信じさせて下さい)」
舞夏「(味方したい…、味方したいよ、一夏。 けど、あたしはただの道案内役。 味方するのはルール違反…)」
一夏「舞夏ちゃん…」
舞夏「(ルールを破ったら、あたし、もう二度と一夏に会えない。 そしたら、ジンはまだ3つも残ってるのに、一夏を助ける事も…」
一夏「舞夏ちゃん!」
舞夏「ごめん…、答えられない…。 でも…」
一夏「うそ…」

 お守りが光る。

舞夏「一夏!」

 一夏、変身。


■一夏と舞夏

 一夏、変身解除。

舞夏「大丈夫? 一夏…。 でもどうして…? あたし、てっきり一夏がまたジンのチカラに振り回されちゃったのかと…」
一夏「…目の前の現実から逃げて、ウソをつくのは、誰でも簡単…。 でも…、でも舞夏ちゃんは、あの日、指切りをしてから、
    言えない事や小さな事をはぐらかす事はあっても、(回想:舞夏「あたしは人間じゃない!」)、大事な事で私にウソを
    ついた事、ありませんでしたよね」
舞夏「一夏…」
一夏「なのに、すぐ逃げ出したくなったり、ウソをつきたくなる…。 そんな私じゃ、申し訳ありませんから。
    私、立ち向かうんだって、決めたんです」
舞夏「一夏、強くなったね…。 ホントに強くなったね…」


■沙耶とカイ

 沙耶とカイ。石になったセイ、鏡。

沙耶「まもなくだわ…。 あの子、その子と同じ結果になるのかしら…」
カイ「人間は一人一人、皆違いますよ。 でしょ?」


■一夏モノローグ

その日、私は初めて、舞夏ちゃんの本当の姿を知ったような、そんな気がしていました。
でも、別れの日まで、もうほんの僅かしかない事も、分かっていたのです。

 丸の付けられたカレンダーの8月31日が映る。


■その他

□日付。お墓参りは8月21日(土)。

□神社で巫女服の宗方姉妹
  → 神社の娘?


・6年前、沙耶に対するセイの熱い眼差し
 そしてセイの「6年前俺にしたのと同じ事を一夏にするつもりだな」というセリフ
  → セイに対する一夏の憧れに関係する? 何かに利用?
・沙耶の所にいるカイ
・足を滑らして落ちる一夏(もしくはそれを見て慌てて駆け寄る舞夏)を見て、驚き(焦り?)の表情をする沙耶
・舞夏は人間になりたい?
・両親の夢に出てきた鏡の破片と舞夏
・8話以降、何度も出てくるカレンダーの8月31日。この日に何があるのか。なぜ舞夏にもナイショなのか。


◇七つの試練

沙耶のセリフ「七つの試練、七つの罪の洗礼」の時にインサートされる7枚のカット

7枚のカットは順に、
#02 ワンピース
#03 腕時計
#04 ベルト
#05 帯留め
#06 ネックレス
#07 イヤリング
#08 リース(円形の飾り)

これらはBOX2の解説書にて、 イシュタルの冥界下り がモチーフになっている事が示唆されている。
 → イシュタルの冥界下り について
   → 世界の女神(01) 【f-anecs
   → ギルガメシュ叙事詩 [amazon] (訳文10ページ程、解説10ページ程を収録)

冥界に向かうイシュタルが七つの門を通る際に失ったものが、順に、
大王冠
耳飾り
首環
胸飾り
腰帯
腕環と足環
腰布

一夏の場合は逆の順番(イシュタルが帰る際に返してもらった順)に無くしたり、壊したり(壊されたり)している。


◇七つの大罪

「七つの試練、七つの罪の洗礼」というのが、七つの大罪をモチーフにしているとして、一応当てはめてみると、

Greed(強欲):燎(#02)? 自分の欲求の為に一夏たちを追い回し乱暴
Envy(嫉妬):菜穂(#03)? 自分の行きたかった学校へ行く、裕福な一夏に対して

Sloth(怠惰):智子(#04)? 掃除、課題、肝試しサボリ
Lust(色欲):臨(#05)? 蛍子に対して
Wrath(憤怒):一夏(#06)? 妄想の中とはいえ、一時の感情でセイを問い詰め
Pride(傲慢):一夏(#07)? 強大なジンのチカラに溺れ、力無き沙耶に危害を加えようとした
Gluttony(暴食):白坂美月(#08)? 過食

一部しっくり来ないけど。
割と突飛な印象だった美月の「お腹が空いてるのよっ」というセリフや過食という設定は
これにあわせた為だろうか。

(追記)Greed と Wrath は逆かも。

Wrath(憤怒)燎(#02)? 真希との仲を取り成して欲しかっただけなのに、怯えた表情で逃げる一夏に対して
Greed(強欲):一夏(#06)? セイを、昔付き合ってた(と一夏は思ってる)沙耶から奪いたい