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第7話 『木末の嫉妬』

■アルバムを見るセイとカイ

セイ「やっぱりあの人が、沙耶さんが、一夏ちゃんの近くに、現れていたんだ…。
    信じたく、なかったけどな…」
   「けど、一夏ちゃんに同じ思いは、させたくない…」
   「みんな、オレのせいだ…」
カイ「違うって。自分だけを責めるな」
   「責められるのは、オレの方だ…」


■風邪をひく舞夏

 一夏モノローグ。

それは、夏風邪でした。
私が直ったと思ったら、今度は、舞夏ちゃんに、移ってしまったようでした。


■舞夏を診る医者、何かに気付く


■沙耶

沙耶「お大事に…。 まだあなたに壊れて貰っては困るの…」


■保険証

 注射を打たれる舞夏。

一夏「舞夏ちゃん、何か変な所でも…? あっ…」
医者「いや、別に。 風邪だよ風邪。 かなり抵抗力が弱いと見えて、肺炎を起こしかけていたけど、もう大丈夫だろ」
一夏「(違う…)」
医者「何年かにいっぺん、こんな症状の子を診る事があるが…。
    (一夏ママに)あとで薬を取りに来て下さい。 この子の保険証はその時一緒に持ってきてくれればいいですから」
一夏「(あっ…! 鏡から出てきた舞夏ちゃんに、保険証なんて…!)」
ママ「診察費用は、うちが全額負担させて頂きます」
一夏「えっ?!」
ママ「この子、保険証持ってきてないんですよ」
医者「分かりました。 薬は処方しておきますね」
ママ「お願いいたします」
一夏「(お母さん、まさか舞夏ちゃんの事…、知ってるの?)」


■目が赤く光る一夏

一夏「(先生が言ってたのとは、違う。 こんなに光るなんて…。 これは…、きっと…!)」(寝ている舞夏の方を見る)

 一夏、寝ている舞夏の方へ近づく。
 一夏、ハッとして、持っていたケータイを落とす。手が震えている。

一夏「違う! 違う…、舞夏ちゃんのせいじゃない! きっと、なにか別の…!」

 一夏、膝をつき嗚咽。
 一夏、モノローグ。

その時の私は、舞夏ちゃんと出会ってから、自分がどんどん変わっていく感じがしていました…
とめる事のできない変化が恐くて…、何かが溢れそうになっていたのです…


■舞夏、目を覚ます

舞夏「あれ? なんであたし一夏のベッドで寝てんの…? あ…。 そっか…、医者に診られちゃったんだ…」
   「(一夏…。 あたしの体が普通じゃないって、分かったんだろうな…)」


■イヤリング

 一夏、オルゴールを開けて回想

一夏(子供)「これは?」
おばあちゃん「一夏ちゃん、あなたが大きくなったら、着けてごらん」

 現実。一夏、イヤリングを着ける。

一夏「(大きく、なったら…)」

 一夏、鏡の前へ。

一夏「あっ…。 はぁ…、全然似合わない…」

 一夏、イヤリングを外そうとするが、玄関のチャイムが鳴ったので、着けたまま部屋を出る。


■セイ

 夕方、家庭教師の為に一夏の家に来るセイ。
 一夏の家の前で、隣の沙耶の家を見る。

セイ「沙耶さん、今もいるんだろうな…」

→ 一夏がセイと関わる、という事が”試し”の一環?
  そして沙耶が自宅でそれを観察しているであろう事を、セイも承知している?


■セイと一夏

舞夏「一夏ってば、今日のお夜食、心を込めて作ってたもんねぇ」
一夏「あっ…(顔が赤くなる)」
セイ「え?」

→ 一夏の気持ちには気付いてない風のセイ(とぼけてるだけかもしれないが)


■兄弟

 勉強中。源頼朝、義経兄弟の話。

一夏「兄弟…。 セイさんとカイさんみたいに、仲が良かったんでしょうね」
セイ「そう、かもね…」
一夏「…?」
セイ「でも、壇ノ浦で平家を討ったあと、義経は兄の頼朝に追われる事になるんだ…」
一夏「ああっ、そうでした…。 すみません…」

 本を見ていた舞夏、視線をふたりに向けるが、すぐ本に戻す。


■沙耶の家の窓を見るセイ

 勉強中。沙耶の家の方を気にするセイ。

一夏「この、北条氏の…。 …? あっ…! (お隣の沙耶さんの家…)」
舞夏「おほんっ(わざと咳)」
セイ「あっ(我に返る)」
舞夏「すいません、まだ、風邪治ってなくて」
セイ「…お大事に…」


■イヤリング

セイ「珍しいね」
一夏「え?」
セイ「一夏ちゃんが、そういうの着けてるの」
一夏「あっ… えっ…! (慌てて立ち上がって)違うんです! こ、これ、違うんです!」

 一夏、イヤリングを無理矢理外す。
 一夏、痛そうな声。
 真夏、驚きの顔。
 床に転がる(無理矢理外した為に壊れた)イヤリング。

一夏「痛い…」
セイ「一夏ちゃん、大丈夫かい?」
舞夏「一夏、痛いの? 一夏、一夏ってば」
一夏「(私ってば、みっともない…。 沙耶さんとは大違いだ…)」
舞夏「あたし、救急箱持ってくるね」

 一夏たちの様子をうかがっている沙耶。


■一夏とセイ

セイ「じっとしてて」
一夏「ああっ…」
セイ「血は出てないけど、擦り切れてる…。 痛いだろ? 大丈夫?」
一夏「…はい…」

 窓を叩く音。沙耶の家に面した窓。
 一夏&セイ、驚いて窓の方を見る。
 窓の外に小鳥。

一夏&セイ「はぁ…(溜息。安堵?)」

 一夏&セイ、ハッと視線を合わせ、またそらす。
 それを廊下から見つめる舞夏。


■沙耶を気にする一夏

 セイ、帰り際。

一夏「あの…、明日、カイさんに来て頂くの、お昼過ぎにして頂く事、出来ますか?」
セイ「え?」
一夏「あっ、もちろん、それは直ってなくて構いませんので」
セイ「大丈夫だと思うけど、どうして?」
一夏「(なんか落ち着かないから、沙耶さんがお勤めに出かけている間に、なんて言えないです…)」
   「いえ、あの、すみません…」
セイ「分かった、伝えとくよ。 じゃあ」


■沙耶を気にする一夏

 次の日、昼。

一夏「(沙耶さん、今日はまだ出かけた様子がないけど…)」

 カイ登場。直したイヤリングを一夏に渡す。

カイ「明るいうちに家庭教師をするのもいいなあ」

 やはり沙耶の存在が気になる一夏。

一夏「カイさん」
カイ「ん?」
一夏「家庭教師、図書館でお願い、できません、よね…」


■図書館へ向かう一行。沙耶(の家)を気にする一夏と、そんな一夏を気にするカイ


■セイの事が

 外のベンチで勉強。

カイ「お隣…、なんかあんの?」
一夏「えっ!(驚く)」
カイ「ん?」
一夏「…実は…」

カイ「そっか…、一夏ちゃんはセイが好きなんだな」
一夏「(うなずく)」
カイ「オレもさ。 オレもセイの事が好きだ」
一夏「ええ?!」
カイ「…って言ったらどうする?」
一夏「あっ、カイさんったら」
カイ「はははっ。 でもホント、オレ、あいつの事好きだし、信頼してる。 あいつには秘密だぞぉ」
一夏「えーー、フフフッ」

 ふたり、笑う。
 その様子を見つめる舞夏。


■似てる?

一夏「どうして、カイさんじゃなく、セイさんなんでしょう…」
カイ「一夏ちゃんは、セイに似てる」
一夏「似てますか…?」
カイ「(うなずく)」
一夏「あ、そういえば、カイさんはどこか、舞夏ちゃんに似てますね」
カイ「…そうかも、しれないな…」
舞夏「あたし似てないよ、多分…」
一夏「舞夏ちゃん…」
カイ「そうかもしれないな」


■突然の突風(海風)。カイのレポート、飛ばされる

→ 沙耶のチカラ?


■一夏、目が赤く光る

一夏「ああっ、レポートが」
カイ「ありゃダメだな。 まあいいさ、また書くから」
一夏「私、探してきます」
カイ「いいって」

 カイ、一夏の手を掴む。
 振り向く一夏。目が赤く光っている。
 驚くカイ。

一夏「待ってて下さい」

 一夏、走り去る。

カイ「一夏ちゃん…」


■変身中は見えない

 一夏、変身。
 大仏の手の上に降り立つが、観光客に見られている事に動揺。

舞夏「大丈夫。 今のあたしたちは、普通の人には見えないから」

 一夏、安堵。


■カイ

 カイ、屋根の上を見上げる。

カイ「今のオレには、もう見えないか…」


■一夏

 一夏、上空から沙耶を見つける。

一夏「あっ…。 沙耶さん…、どうしてここに…?」

 一夏、公園で会っていたセイと沙耶を思い出す。
 だんだんと鼓動が激しくなる。

 一夏、目が赤く光る。
 風のジンのチカラ発動。突風発生。

舞夏「(驚いて)一夏!」

 一夏、反応なし。更に突風。
 沙耶、風を受ける。表情変わらず。
 赤く光る目のままの一夏。

 沙耶、風に身を任せ、飛ばされる。目を閉じる。
 飛ばされた先に自動車。

 スローモーション。クラクション。悲鳴。

 一夏、我に返る。
 目の赤い光は止むも、色は赤いまま。

一夏「ダメッ!」

 沙耶、風のチカラで、間一髪助かる。

周りの人「大丈夫ですか?!」
沙耶「ご心配かけてすみません。 でも、すごい風でしたね」

 沙耶、平然としている。

 震える一夏。

舞夏「一夏…」
一夏「(震えた声で)私…、今、何をしようとしてたの…!? ああっ…」

 一夏、泣きながら去る。

舞夏「一夏!」


■一夏

 夕暮れ。

カイ「おっ、レポート、サンキュー。 もう拝観時間終わりだってさ」

 集めたレポートをカイに渡す一夏。手が震えている。

カイ「あ…。 帰ろう…」

 一夏、モノローグ。

もう、ジンのチカラは使わない、絶対に使いたくない…
その時の私は、ジンのチカラと、自分自身を怖れ、呪っていたのでした…


■沙耶

 夜。誰かと電話で話す沙耶。
 ダイヤル式の古風な電話機が宙に浮いている。

 旧校舎のものと同じような鏡がある。欠けている場所も同じ。
 沙耶の声。

はい…、仰せの通りに進めております。
はい…、いえ、そのような事は…
ご満足頂ける結果を出せるかと…
はい…、はい…、もうあの子は後戻り出来ません…


■その他

□1話アバンで増えていて、6話の時点で貼られていた写真、やはり舞夏は写っていない

□沙耶が電話をしていた場所は沙耶の家?


・小さい頃の写真はセイのものしかなく、カイはいない
・中学入学式と思われる写真もセイひとり
・中学夏と思われる写真からカイ登場。楽しそうな表情。沙耶が写っている
・高校ぐらいと思われる写真、悲しそうな表情
・セイの小さい頃の写真の猫
・風邪のような症状を見せる舞夏。注射も打たれる
・何年かにいっぺん、同じような症状の子を診るという医者。試しは鎌倉近辺で今までに何度も行われてきた?
・舞夏が保険証を持っていない事を知っている一夏ママ。費用の負担
・舞夏の「自分の体は普通じゃない」という言葉の意味
・セイにイヤリングの事を言われて、急にあたふたする一夏
・セイ・カイといる一夏を哀しそうに見る舞夏。一夏を哀しくさせるセイ、明るくさせるカイ
・シャボン玉も、うたかたの隠喩?
・一夏が使うジンのチカラに、されるがままの沙耶。一夏の手で自分を傷つけさせるのが目的?
・旧校舎の鏡と、7話ラストに出てきた鏡の関係
・電話の相手